
広大な大地と厳しい自然環境を持つ北海道は、日本の中でも特に独特な歴史を歩んできた土地である。
本州とは異なり、本格的な開拓が始まったのは比較的近代に入ってからであり、その過程では多くの人々が、寒さや過酷な労働環境の中で命を落とした。
炭鉱や鉄道建設、ダム工事といったインフラ整備の裏側には、数えきれない事故や犠牲が存在し、役目を終えた町や集落は、やがて静かに地図から姿を消していった。
かつて人々の生活があった場所が自然に飲み込まれ、人の気配だけが取り残された土地が、今も北海道各地に点在している。
こうした背景から、「誰もいないはずの場所で音がした」「写真に写るはずのない影が残った」といった噂が生まれ、いつしか心霊スポットとして語り継がれる場所が増えていった。
北海道の心霊スポットが持つ恐怖は、派手な演出よりも、静かに積み重なった歴史と、人の記憶が消えきらずに残っていることにあるのかもしれない。
そこで本記事では、数ある噂や体験談の中から、北海道で特に有名とされる心霊スポットを10か所厳選して紹介する。
それぞれの場所が、どのような理由で“心霊スポット”と呼ばれるようになったのか──
その背景に目を向けながら、ひとつずつ見ていこう。
1️⃣ 常紋トンネル(紋別郡遠軽町・北見市)

明治時代、北海道の近代化を支えた鉄道建設の裏側では、「タコ」と呼ばれた労働者たちが過酷な環境で酷使されていた。常紋トンネルも、そうした労働者によって掘削された場所のひとつであり、工事中に多くの犠牲者が出たと伝えられている。
周辺では古くから「腹が減ったと声が聞こえる」「血だらけの男が現れる」「火の玉が飛ぶ」といった怪談が語られてきたが、これらは単なる噂ではなかった。1970年、修復工事の際にトンネル内壁から人骨が発見され、実際に人柱が埋められていた可能性が明らかになったのである。
後に犠牲者を弔う追悼碑も建立され、常紋トンネルは心霊スポットであると同時に、北海道開拓の影に埋もれた悲劇を今に伝える場所となっている。
👉常紋トンネル|北海道開拓の闇と心霊譚が交差する場所 | 都市伝説の部屋
2️⃣ 雄別炭鉱病院跡(釧路市)

雄別炭鉱病院跡は、かつて北海道屈指の炭鉱町として栄えた雄別地区に存在した病院の跡地である。炭鉱労働者やその家族の治療を担っていたが、炭鉱事故や過酷な労働環境により、多くの負傷者や死者を出した歴史を持つ。炭鉱閉山後、町は急速に衰退し、病院も廃墟となった。
現在では、地下に霊安室がある、夜になると人影が現れる、煙突付近で子供の霊が目撃されるなど、数多くの心霊現象が噂されている。霊能者・宜保愛子が関わったとされる話もあり、その名が全国に知られるきっかけとなった。
雄別炭鉱病院跡は、単なる心霊スポットではなく、北海道開拓と炭鉱産業の影に埋もれた人々の記憶が、今なお語り継がれている場所といえるだろう。
👉雄別炭鉱跡 ― 北海道に眠る“消えた炭鉱町”と心霊伝承 | 都市伝説の部屋
3️⃣ 平和の滝(札幌市)

札幌市西区に位置する平和の滝は、市街地から近い自然豊かな観光スポットでありながら、北海道でも有名な心霊スポットとして知られている。昼間は滝の音と緑に包まれ、ハイキングや散策を楽しむ人々で賑わうが、夜になると一転して不気味な噂が語られる場所だ。
過去には滝壺への投身自殺や周辺施設での事故があったとされ、これをきっかけに心霊現象の噂が広まった。夜間に人影を見た、誰もいないはずの場所から声が聞こえた、写真に黒い影が写り込んだといった体験談も多く、特にトイレ周辺は危険視されている。
ただし、これらはあくまで噂や体験談であり、科学的に証明されたものではない。現在も自然公園として整備されているが、夜間の訪問や肝試し目的での探索は事故の危険が高く、注意が必要である。平和の滝は「怖い場所」というより、昼と夜でまったく異なる表情を見せる、その落差こそが印象に残る場所と言えるだろう。
👉🕯️ 平和の滝 ― 昼の絶景と夜の怪異が交差する場所 | 都市伝説の部屋
4️⃣ラブホテル・コスモ(北海道・音更町)

北海道河東郡音更町にかつて存在したラブホテル・コスモは、独特な外観と数々の怪奇噂で知られる心霊スポットである。1970年代にはすでに建てられていたとされ、スペースシャトル型の客室を備えた異様な建築が強い印象を残していた。廃業後も長期間放置され、その不気味な姿が口コミやネットを通じて広まり、心霊スポットとして注目されるようになった。
この場所では、無表情の女性の霊を見た、写真に人影が写り込んだ、二階の窓から視線を感じたといった体験談が数多く語られている。また、探索中に大量の蜂に襲われたという不可解な話もあり、恐怖を強める要因となっている。ただし、これらはあくまで噂や体験談であり、科学的に証明されたものではない。
現在、建物は老朽化が進んだ廃墟であり、無断侵入は事故や法的トラブルの危険が高い。ラブホテル・コスモは、心霊現象そのものよりも、異質な建物と人々の想像が生み出した“語られる恐怖”が印象に残る場所と言えるだろう。
👉🏩 ラブホテル・コスモ ― 異様な廃墟と不気味な噂 | 都市伝説の部屋
5️⃣円形校舎廃墟(沼東小学校・北海道美唄市)

北海道美唄市にかつて存在した沼東小学校は、珍しい円形校舎を持つ学校として知られていた。炭鉱の町として栄えた美唄の発展に合わせて児童数が増えたが、1970年代に炭鉱が閉山し人口が急減したことで廃校となった。その後、校舎は長期間放置され、独特な建築と廃墟の雰囲気から心霊スポットとして語られるようになった。
この場所では、赤いランドセルを背負った少女の霊が現れるという噂や、校舎周辺で不気味な気配を感じたという体験談が知られている。少女が突然姿を消したという話も語られるが、公式な事件記録は確認されておらず、あくまで噂の域を出ない。現在、校舎はすでに解体されているが、「円形校舎」という特異な形と、失われた学校の記憶が怪談として人々の印象に残り続けている場所である。
👉🏫 円形校舎廃墟(沼東小学校) ― 不思議な形と少女の噂が残る廃校 | 都市伝説の部屋
6️⃣ 支笏湖(北海道・千歳市)

北海道千歳市にある支笏湖は、日本有数の透明度を誇るカルデラ湖として知られる一方、心霊スポットとしての噂も語られている場所である。支笏湖は水深が非常に深く、湖底が見えないほど暗いため、過去に水難事故や転落事故が起きてきたことが、不気味なイメージにつながったと考えられている。
湖畔では、夜間に人影を見た、視線を感じた、湖面から手が伸びているように見えたといった体験談がネット上で語られており、「死骨湖」と呼ばれる都市伝説も存在する。ただし、この名称は俗説であり、実際の地名由来とは関係がない。
明確な心霊現象が確認された事実はないものの、深い水と静寂に包まれた環境が人の想像力を刺激し、怪談として語り継がれてきた場所と言えるだろう。観光地として訪れる際は、夜間や危険な行動を避け、安全を最優先にしたい。
👉🌊 支笏湖(しこつこ) ― 美しい観光地に潜む“怖い噂” | 都市伝説の部屋
7️⃣ グリュック王国(北海道・帯広市)

グリュック王国は、北海道帯広市にかつて存在した中世ドイツ風のテーマパークで、1989年に開園した。城や石畳の街並み、グリム童話をモチーフにした施設などが並び、当初は多くの観光客で賑わったが、バブル崩壊後の経営悪化により2000年代に閉園。その後は建物が放置され、現在では廃墟として知られている。
閉園後、園内では人影を見た、誰もいない建物から音がしたといった噂が広まり、心霊スポットとして語られるようになった。特に、痩せた男性の霊や女性の霊が現れるという話が有名で、夜間に視線を感じたという体験談もある。現在は立ち入り禁止となっており、不法侵入や事故の危険性も高い。幻想的だったテーマパークの名残と、廃墟特有の静けさが、不気味な噂を生み続けている場所である。
👉🏰 グリュック王国 ― 廃墟となった“ドイツ風テーマパーク”と不気味な噂 | 都市伝説の部屋
8️⃣ 青い屋根の家(岩見沢)

北海道岩見沢市にある「青い屋根の家」は、地元で有名な心霊スポットとして知られる廃屋である。白い外壁に青い屋根が特徴のこの家は、かつて一般住宅だったが、住人に不幸が続き、現在は無人のまま放置されている。噂によると、最初の住人の男性が家庭問題を苦に風呂場で命を絶ったとされ、それ以降、怪奇現象が頻発するようになったという。夜になると二階の窓に人影が現れる、少年の霊を見た、写真に無数のオーブが写るなどの目撃談が後を絶たない。また、霊能者や僧侶による除霊も失敗に終わったとされ、不気味さを一層強めている。隣接する霊園との関係から霊道上に建っているという説もあり、近づくだけで不快感を覚える人も多い。現在も「行ってはいけない場所」として語り継がれている。
👉🏠 北海道・岩見沢の恐怖スポット「青い屋根の家」 | 都市伝説の部屋
9️⃣ 朝里温泉病院跡(北海道・小樽市)

朝里温泉病院跡は、北海道小樽市にかつて存在した医療施設で、もともとは温泉旅館として建てられた建物を病院へ転用したという特徴的な歴史を持つ場所である。閉院後は長期間にわたり廃墟として放置され、その過程で心霊スポットとして知られるようになった。2004年に解体され、現在は建物自体は残っていないが、今もさまざまな怪談や噂が語り継がれている。
廃墟時代には、夜間に人の気配を感じる、誰もいないはずの場所で音がしたといった体験談が広まった。中でも有名なのが、病院跡地周辺の物を持ち帰ると「返してほしい」という電話がかかってくるという噂で、看護師や患者の霊を連想させる話として語られている。現在は温泉地として整備されており、過去の廃墟と人々の記憶が結びついて怪談として残り続けている場所である。
👉🏥 朝里温泉病院跡 ― 病院廃墟と不気味な噂が残る場所 | 都市伝説の部屋
🔟 赤平観光センター(プリンス平安)(北海道・赤平市)

赤平観光センターは、北海道赤平市にかつて存在した総合観光施設で、通称「プリンス平安」とも呼ばれている。かつては結婚式や宴会、宿泊などに利用され、地域の人々に親しまれていたが、利用者の減少とともに閉業。その後は長年放置され、現在では老朽化が進んだ廃墟として知られている。
施設内には、式場跡と思われる広い空間や巨大なシャンデリアの名残、剥製などが残されており、廃墟特有の異様な雰囲気を醸し出している。こうした環境から、女性や老婆の霊を見た、人の気配を感じたといった噂が広まり、心霊スポットとして語られるようになった。
現在は私有地で立ち入りは禁止されており、建物の崩落などの危険性も高い。かつての賑わいと、静まり返った廃墟の対比が、人々の想像力を刺激し続けている場所である。
👉🏚️ 赤平観光センター(通称:プリンス平安)― 廃墟化した式場ホテルと噂の心霊現象 | 都市伝説の部屋
🧠 北海道の心霊スポットまとめ
北海道は、広大な自然と厳しい気候、そして開拓や産業発展の歴史を併せ持つ土地である。その過程で多くの人々がこの地に集い、働き、そして静かに姿を消していった。今回紹介した心霊スポットの多くは、事故や過酷な労働、施設の閉鎖や廃墟化といった現実の出来事を背景に、噂や怪談として語り継がれてきた場所ばかりである。
これらの話のすべてが事実であるとは限らない。しかし、怪談として残された声の裏側には、その土地で確かに生きた人々の記憶や歴史が存在している。心霊スポットは単なる「怖い場所」ではなく、時代の流れの中で忘れ去られてしまった出来事を思い出させる存在とも言えるだろう。
興味本位での探索や無断侵入は危険を伴うため決して推奨されないが、こうした噂や伝承を通して、北海道のもう一つの側面に思いを巡らせてみるのも一つの楽しみ方かもしれない。恐怖とともに、歴史に静かに耳を傾けたい。
⚠️ 注意書き
本記事は、各地に伝わる噂や都市伝説を紹介するものであり、
心霊現象の実在を断定するものではありません。
現地訪問の際は、不法侵入や危険行為を絶対に行わないでください。


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