
前半では、アドベンチャーランドに隠された数々の噂や、小さな仕掛けの裏に潜む“もうひとつの物語”をご紹介してきました。
そして都市伝説の魅力は、表向きには語られない裏側にこそあります。真相が分からないからこそ想像が膨らみ、エリアの世界観そのものがより深く感じられるのです。
ここからの後半では、ファンの間で密かに語られる少しマニアックな都市伝説にも触れながら、アドベンチャーランドの奥に潜む不思議な話をさらに掘り下げていきます。
絶え間なく流れるジャングルの川、古びた港町の薄暗い灯り、ゲストの目に触れない場所に隠されたサイン――そのどれにも、まだ表に出ていない物語が確かに息づいています。
後半では、思わず誰かに話したくなるような不思議なエピソードを中心にご紹介します。
少しマニアックだからこそ、知れば次にパークを訪れるときの景色が変わるはずです。
それでは、物語の続きへ。
前半よりももう一段深く、少し不思議で、少しスリリングなアドベンチャーランドを一緒にのぞき込んでみましょう。
6.世界に100本ほどしかない樹木がある?
ウエスタンリバー鉄道の景色の中に、実は“世界にわずか100本ほどしか現存しない”と言われる希少な樹木があることをご存じでしょうか。
その名は、ジュラシックツリー。日本では恐竜時代にちなんでそう呼ばれていますが、正式名称はウォレマイ・パイン。1994年、オーストラリアのウォレマイ公園で発見された、生きた化石ともいわれる世界最古級の種子植物です。
最古の化石は約2億年前に遡り、長いあいだ絶滅したと考えられていたこの植物は、自生する株が100本にも満たない超希少種。現在は人工的に増殖されていますが、近親交配が進んでいるため発芽率は1%未満ともいわれます。
そんな貴重すぎるジュラシックツリーが東京ディズニーリゾートに植えられた理由は、2004年の浜名湖花博に出展された3本のうち2本がオリエンタルランドに寄贈されたため。1本はディズニーランドへ、もう1本はディズニーシーへ。残りの1本は今も浜名湖ガーデンパークに展示されています。
アドベンチャーランドの風景に溶け込んで静かに佇むこの“古代の証人”。
その存在を知れば、ウエスタンリバー鉄道の景色が少しだけ違って見えるはずです。

7.スイスファミリー・ツリーハウス休止の“本当の理由”とは?
アドベンチャーランドの象徴的スポット「スイスファミリー・ツリーハウス」は、長らく休止が続いています。ネット上では、「内部で火事が起きた」「ゲスト事故があった」といった少し怖い都市伝説が語られています。しかし実際には、これらの噂を裏付ける事実はなく、より現実的な理由があると言われています。
そのひとつが、スポンサー撤退による継続運営の難しさ。もともとツリーハウスはスポンサー支援を受けつつ維持管理されていましたが、特殊な構造ゆえに手入れに費用がかかることもあり、サポート体制を維持しにくくなったとも推測されています。
さらに、一部のファンの間では、アドベンチャーランド全体の再開発計画も関係しているのではと囁かれています。動線や景観の見直しが進められている中で、ツリーハウスをどう扱うかが検討されている可能性が高いというわけです。
つまり、話題の“火事”や“事故”よりも、運営上の判断や今後のエリア構想が休止の背景にあるというのが、最も現実的な見方と言えるでしょう。

8.チキルームで囁かれる“閉館後に動く鳥”の怪談
アドベンチャーランドの名物ショー「魅惑のチキルーム」。陽気な音楽とカラフルな鳥たちのパフォーマンスで知られていますが、このアトラクションには、ファンの間で長年語られる“ひとつの怪談”があります。
それは──閉館後、電源が落とされたはずの鳥が勝手に動くという噂。
点検のためにチキルームに入ったキャストが、真っ暗なホールで突然「バサッ」という羽ばたき音を聞いたと言ったことが噂の発端。鳥たちはアニマトロニクスなので、本来は制御パネルからの信号がなければ動くことはありません。まして閉館後は電源も切られ、すべて完全に停止している状態のはずです。
しかしキャストによれば、その時は照明も暗く、周囲には誰もいなかったにもかかわらず、頭上の鳥がわずかに揺れ、羽を小さく開閉したように見えたと言います。
技術的には、静電気や機械の戻り動作が起こる可能性もあります。ですが、暗闇と静寂に包まれたチキルームで突然“生き物のような動き”を見れば、誰だって背筋が寒くなるはず。
この出来事が広まったことで、ネットでは
「初代チキルームの鳥の魂が残っている」
「ショーの精霊が眠っている」
など、さまざまな解釈の都市伝説が生まれました。
陽気なアトラクションとは裏腹に、閉館後のチキルームには静かな“影”がある──
そんな噂が今もひそかに語り継がれているのです。

9.ウエスタンリバー鉄道で噂される“振り返るインディアン像”の怪
ウエスタンリバー鉄道のジャングルから荒野へと抜ける途中、アメリカ先住民の村が見えるエリアがあります。穏やかな焚き火、動かないはずの人形たち──しかし、このポイントには昔からファンの間で「見てはいけない噂」が語られています。
それが、“インディアン像が時々、こちらを振り返っているように見える”というもの。
人形たちは固定されており、角度が変わることはありません。ところが、複数のゲストが
「前に乗った時と顔の向きが違った気がする」
「一瞬だけ、目が合ったように感じた」
と話すため、この噂はしだいに広まっていきました。
さらに不気味なのは、夜の点検でキャストが
「誰もいないはずなのに、焚き火の横で影が動いた」
と言ったという二次的な噂まで存在すること。
夜の鉄道沿いは外灯も少なく、木々の影が揺らぐため、そうした見間違いが“怪談”を強めてしまったとも言われています。
実際には、通過する角度や夜のライトの反射で顔が違う方向を向いたように見える錯覚が原因とされています。しかし、あの静かな村の雰囲気と相まって、
「本当に誰かがこちらを見ているのでは…?」
と感じる人が後を絶たないのも事実。
ウエスタンリバー鉄道の中でも、ひそかに語り継がれる“最も不気味な都市伝説”のひとつです。

10.滝の役割?
アドベンチャーランドにある滝は、南国の雰囲気を演出するための風景づくりだけでなく、実はエリア同士の境界線を自然に演出するための重要な役割を担っています。滝の音は視覚的な境界だけでなく、聞こえてくる“水の響き”によって、ゲストが次のエリアへ移動する際に雰囲気が切り替わったことを自然と感じられるように設計されています。
水が落ちる音は、他のエリアから聞こえてくる音をやわらかく遮り、アドベンチャーランドならではの世界観に没入させる効果があります。明確な仕切りを作らずとも、滝の音を通して「ここから先は違う世界」という境界が感じられるようになっているのです。
さらに、この滝の音にはゲストをリラックスさせる効果もあり、探検気分を高めながらも心を落ち着け、ストレスを軽減する働きがあると言われています。アドベンチャーランドではエリアの場所によって異なる水音が使い分けられており、ジャングルらしい力強い流れや、南国の軽やかな水音など、細かな違いがエリアごとの個性をさらに引き立てています。
このようにアドベンチャーランドの滝は、雰囲気づくりと音の効果を組み合わせた“自然の境界線”としての役割を持つ、非常に計算された存在なのです。

まとめ
前半・後半あわせてご覧いただき、ありがとうございました。
アドベンチャーランドという一つのエリアの中にも、これほど多くの都市伝説や細やかなストーリーが息づいていることに、改めて驚かれた方も多いのではないでしょうか。公式には語られない裏話や、ファンの間で語り継がれる噂を知ることで、普段歩いている風景がまったく違って見えるのも、このエリアの大きな魅力です。
次にパークへ訪れた時には、ぜひ今回ご紹介した“ちょっとマニアックな視点”を思い出してみてください。何気なく通り過ぎていた道や建物、アトラクションに隠された意味が分かることで、冒険の世界はきっと倍以上に広がります。
あなたの次のアドベンチャーランドの旅が、これまでよりもっと深く、もっとワクワクするものになりますように。

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